Kyo Co. のブログ

伝えたい、自分の目で見たものを、自分の言葉で。この世界の多様性への気づきが、自分らしくまた互いの生き方を尊重できる社会に繋がることを願いながら。

初めての南アフリカで見て、聞いて、感じたものとは。

久しく更新が出来ていなかったブログ。以下、少し長くなるが、南アフリカを訪れて感じたことをそのままに綴りたい。

 

何故、南アフリカに? 

自分が大学生だったころ、卒業前に日本を飛び出しアメリカへ行った。1年の滞在だったが、そこでかけがえのない海外の友人たちと出会うことが出来た。その中の一人が南アフリカから来た友人。当時の私たちは20代前半だったため、恋愛や理想の結婚の話ばかりしていた。お互いの結婚式には絶対にその国に行くからね、と約束していたのだ。

 

それから12年、約束が現実となった。友人の中でも一番日本から遠かった南アフリカ。どうしても行ってみたかった。フットワークが軽い旦那のお陰もあり、実現した。

 

私は現在住んでいるミャンマーから、旦那は日本から。香港で落ち合い、そこから一緒に南アフリカへ。

 

それなりに海外は経験している私たちも、アフリカ大陸はほぼ初めてだった。楽しみではあったものの、もし何かあったらといった心配も珍しくあった。そして、何と香港での反政府デモが私たちの渡航に合わせて、激化しているではないか!数日前に空港も閉鎖された。そんな不安もありながらも、旅は始まった。

 

8/8 香港

以前にも香港は訪れていたが、香港人の勢いと都会ぶりに終始圧倒されてしまった。穏やかなミャンマー生活に慣れきっていた私にはしんどかった。ミャンマーは、いつもどこでもすぐに周囲が助けてくれるが、香港は自分のことは自分で、といった感じ。女性も一人でご飯を食べる姿を良く見つけるし、自立している印象。


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8/9 ヨハネスブルグ

長い長いフライトを経て、ヨハネスに到着。しかーし!香港からヨハネスのフライトが遅れたため、次の目的地であるダーバン行きの予定フライトへ間に合わず。その間も、初めてのアフリカンスタンダードにびびる。私たち以外にも、同様のお客さんがいるだろうも、プライオリティなどなくゲートでの一本の長打の列。係りの人もいないし、放置プレー感が過ぎる。やっとゲートを通過しても、聞く人聞く人の言うことが信用ならない。「どうしましたか」と助けてくれそうな人も寄ってくるが、怪しさがプンプン。といった具合に、アフリカンスタンダードに慣れない自分。

 

8/9 - 8/11 ダーバン

友人の家があり、結婚式が行われる場所、ダーバンへいざ。南アフリカ第三の都市と言われ、海沿いにある街である。道路は整備され、大きなショッピングセンター、ビーチ、西洋の雰囲気が漂う。しかし、住居は経済層、民族により分かれてる様子で、エリアによって大分雰囲気が異なる。ダウンタウンも一区画間違えば、かなり危なそうな雰囲気。

私の友人はインド系南アフリカ人だが、家も近所も完全なるインド系コミュニティー。結婚式も99%がインド系の人々。残り1%は私たち日本人と、白人系南アフリカ人が一人だけ。話す言語は英語、食事はインド系(でも所謂インドカレーとも違う)、宗教はキリスト、西洋スタイルの結婚式と、なかなかのミックス具合。


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8/11 - 8/14 ケープタウン

ザ観光地化されていて、何も不自由が無かった。美しい街、景色、自然、美味しいワイン、フレンドリーな人々。とても緩やかに時が流れている。街中は夜は恐いと感じる部分があるも、観光客向けのエリアは問題無い。ここのハイライトは喜望峰とロベン島。マンデラさんの偉業を改めて実感すると共に、過去の歴史を自分の体験を通して語る元政治犯のガイドに感服した。


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8/14-8/16  クルーガー国立公園

今回の旅行の一つの目玉であるサファリを体験するために、クルーガー国立公園に。

ケープタウンと全く異なる気候、植物。同じ国でこの差はすごい。赤くて固そうな土や木はミャンマーに少し似ていて親近感が湧いた。

 

空港からの道に、建設中の家屋が沢山あった。家は石、レンガ作り、平屋、落ち着いた色使いやデザイン。似た様なデザインであるが、変な広告等も家に貼っていない。道路脇に売店があり、オレンジなどフルーツを売ってる。点々と通り沿いにあるが、ミャンマーの様に隣同士で店を並べて、同じものを売ったりはしていない。

 

と、ミャンマーと時折比較しながら、観察。


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ロッジに宿泊し、そこでは今までに味わったことの無い世界が広がっていた。野生動物とどこまでも続く大地、静けさ、ダイナミズム。最高に美味しいジントニックを飲みながらその大自然を堪能する贅沢な時間。動物や植物の生命を感じる。朝日、夕陽、満点の星空、満月。自然に包まれた。


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最終日の夜、サファリドライブで携帯を失くしたと思ったときは、サファリが一瞬にして永遠と広がる暗闇に変わったが。動物に携帯を食べられる図がずっと頭をよぎっていた。

 


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南アフリカの現実を知る

今回の旅行は、観光地を中心に南アフリカの良いところを中心に見てきた。しかし、クルーガーからの帰りの車のドライバーのおじさんが、南アフリカの現実を色々と教えてくれた。それが、この旅で私が気になっていたことを更に考える機会をもたらしてくれた。

 

野生動物の危機、また近隣諸国の事情

沢山の貴重な野生動物を保護しているクルーガー保護区。モザンビークと国境を越えて保護区になっているが、モザンビークの経済状況や意識の違いから、動物の犠牲が深刻な問題となっているのだそう。一日数ドル程度の収入しか得られない元兵隊等にとっては、高額な収入となるサイの角は狙われてしまう。

 

貧困世帯エリア

来るときに気になっていた建設中の家々。土地は国のものであり、彼らは土地を所有出来ず、その土地の長から借用といった形で土地を借りるのだが、家の建設資金も無いため、最小限の家の一角のみ部屋を作り、現金が出来たら部屋を増築していくのだそうだ。そういったエリアは、政府の方針に従わず自分たちで地域を管理しようとしているが、実際はインフラ整備や土地計画が為されてなく、またあらゆる社会サービスの提供も追いついてないのが現状だそうだ。各世帯の収入も低いため、税金を支払うまでのレベルにいかない。教育の質も悪く、教員は資格を持っていないそうだ。失業率は全体で25%。20、30代の若者の失業率は70%にも登るという。恐ろしい負のサイクル。

 

人種問題

南アフリカはアパルトヘイトの歴史を持ち、一般的には白人から黒人に対しての差別的な歴史がよく知られているが、その反対も存在していることを知った。黒人の人たちの中には、白人の言うことに一切聞く耳を持たず、強い反発心があるとのこと。白人であるそのドライバーさんは、元々エンジニアで地域のためにダムの建設を行っていたそうだ。やっと建設を完了させた後、ダムに行こうと仕事場に行くと、地元の黒人から成る集団ストライキに合い(白人にダムは手渡さないという理由で)、その後のダムの維持管理に携わることが出来なくなったとのこと。彼は、その地域に生まれ育ち、英語以外にも民族の言語を5つ話せるとのこと。そうではなければ、人々から聞いてもらえず、信頼を得られないから、それが自分の出来ることだった、と話した。

 

これらを通して、今回の旅で感じたこと。

 

南アフリカの多様性

場所に寄って異なる、景色、天候、環境。そして、様々な人種、ルーツを持った人たちがいて、とても多様な国だと感じた。英語はどこでも通じるが、それぞれの民族の言葉も話している。全体的にアフリカとは思えない発展ぶりだが、貧困や経済格差が垣間見えた。移民、難民、不法滞在、スラム、ホームレス、路上の物乞い、エリアではっきりと経済層が分かれてる。目に見える人種差別は無いものの、仕事、連れそっている仲間、コミュニティはそれぞれの民族ではっきりと分かれている様に感じた。

 

とにかく人々はフレンドリーで、どんな時も必ずhow are you?から会話が始まる。南アフリカは他のアフリカ諸国からも沢山出稼ぎに来ているのだろう、とても国籍が豊かだった。タクシードライバーさん全員に、出身国を聞いたら皆違っていた。ジンバブエ、アンゴラ、ナイジェリア、コンゴ、、等々。タクシーに乗っているだけで、アフリカ旅行をしている感覚になった。彼らはみなとても穏やかな人たちだった。アフリカ人に一気に親近感を覚え、興味が湧いた瞬間であった。これだけ多様な人たちがいる中で、How are you?から始まる挨拶は、とても意味のあるものなのかもしれない。

 

共存とは?

ネルソン・マンデラの偉業は讃えられるべきものの、未だに現実にはびこる人種、民族間の問題、格差問題はまだまだ大きく根深い様に感じた。黒人に対するものだけでなく、黒人から白人への反発心。教育、仕事、犯罪、衝突、負のループを感じた。多様性を尊重し誰もが仲良く生きること。綺麗事は沢山言えるが、現実は難しい。特に多様な人種、民族、宗教が存在する国々は。日本の様なホモジニアスな国からは想像し難い問題が沢山あるのだろう。第三者の視点で皆仲良く暮らそうとは言えるが、実際にそこに住み数々の歴史を経てきた人たちにとったら、どう感じているのか。

 

共存。無理に交わり仲良くする必要は無いのかもしれない。やはり同じルーツを持った人同士でいる方が楽だし、安心感がある。でも、私たちはそれでも皆で一緒にいきていかなければならない。どうしたら共存出来るのか。他者への理解、配慮、尊敬。私たちはみな違うからこそ、それらに対して向き合い、努力をしなければならないと感じる。目をそらさず。


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帰国してから、BBC等で最近盛んに放送されているゼノフォビア(移民排斥)問題。必死に抵抗し、調和を保とうとする動きもあるが、現実はそう簡単ではない様だ。平和は努力無しでは得られないのかもしれない。一人一人が、実現するために常に思考し、行動していくプロセスを経て、初めて平和の道へ向かえるのではないだろうか。

 

そんなことを考えされた南アフリカの旅。遠かったが、そこには暖かな人がいて、やはり同じ世界の一部だと感じることが出来た。